作品紹介 /
横濱・リーディング・コレクション#3 「岸田國士を読む!」 は ―――
【Aプログラム】
  明治37年の夏。陸軍少佐・宇治のもとにも出征の命がくだる。
  宇治は馬丁の友吉を呼び、一緒に戦地へ行くよう勧めるが、友吉は黙ってうつむいたまま返事をしない。
  女房の数代が断固としてそれに反対しているのだ。
  宇治や夫人の説得も数代は聞き入れず、宇治は主従の縁を切ると怒り出す。
  岸田戯曲には珍しく戦争を背景に、主従の縁と義理、世間的立場と夫婦の葛藤を丁寧に描いた 『動員挿話』

  滞在客は四人。夫婦のようにも見え、夫婦でないようにも見える一組の男女。
  子爵家の御曹司だという青年・京野精一と、有閑夫人の土屋園子。
  そしてそこにはもう一人、四人の世話をする菅沼るいという老女がいて―――
  海浜の寂れたホテルで働く、老女の旧い記憶を長大なモノローグで綴る 『顔』
  退屈を持て余す夫人を慰めようと始めたるいの身の上話は、幼い頃にはじまり、
  やがて外国航路の客船でメイドとして働いていた頃の話に及ぶ。
  たった一晩、暗闇の中で船員とおぼしき男を相手に犯した生涯たった一度の過ちとは ―――

【Bプログラム】
  アパアトとは名ばかりの粗末な貸室に住む夫婦。夫は失業中で、今日も仕事を探しに出かけている。
  そこへ二人を心配した友人たちが訪れる。友人達は毎日のように訪れているらしく、
  店を始めないかとか、奥さんを働きに出してはとかそんなことばかり。
  そして夫には、そんな友人達の親切が鬱陶しくてしょうがない。
  夫が失業中の家庭の悲喜を描いた岸田戯曲 『かんしゃく玉』
  で、「リーディングを演劇する、」 「クニヲと俺と。(入門編)」

  小さな家のなかで、交わされるとりとめもない会話。ある日曜日の午後、
  「行きたいところがあるわ。」と、夫婦は二人、子供みたいに想像の世界に入って行き ―――
  結婚一年目の夫婦の休日の会話を描いた作品は、
  気鋭の劇作家として注目を集めた初期の一幕劇にして代表作 『紙風船』

以上の4作品でお送りします!

** 岸田國士 / Kunio Kishida
1890年東京都四谷生まれ。劇作家、演出家、批評家、小説家。1919年フランスに渡り、ジャック・コポーのヴィユー・コロンビニ座を中心に演劇を学ぶ。戯曲の文学性を説く一方、戯曲が他の文学ジャンルとは異なることを強調し、後進の劇作家に大きな影響をあたえた。1928年「悲劇喜劇」創刊。1937年文学座創立。翻訳家、小説家としても知られ、翻訳ではルナールの『にんじん』、小説では『由利旗江』、『落葉日記』、『暖流』等。1954年、『どん底』演出中に脳動脈硬化症で倒れ、急逝。
1954年に創設された岸田國士演劇賞(後に岸田國士戯曲賞と改められる)は、新人劇作家の登竜門とされることから「演劇界の芥川賞」とも称されている。